【グラバー家ヒストリー EP7】グラバー商会について① | 【公式】グラバー園

【グラバー家ヒストリー EP7】グラバー商会について①

2019年9月10日
dscn0661
グラバー:9月になって最初の「グラバー家ヒストリー」である。
ツル:9月はグラバーさんが来崎した月で、グラバーさんたちの功績を忘れないようにグラバー顕彰式があります。私たちも顕彰式に向けてタータンチェック柄の服に衣替えです♪
富三郎:さて、これまでのお話では、父グラバーの故郷・来崎の理由・マッケンジーについて・グラバー邸についてご紹介してきました。
ツル:家を建てて、いよいよ日本での活動が本格的になってきましたね!
グラバー:うむ。今日は若かりしき私がバリバリ働いた頃の話をしよう!
富三郎:それならば今日のテーマはこちらですね!

dscn0662


 1861年(文久元)5月、ジャーディンマセソン商会の代理人マッケンジーは中国の漢口へ去り、グラバーは彼の仕事を引き継ぐことになり、1862年(文久2年)2月、フランシスコ・グルームと共に「グラバー商会」を立ち上げました。グラバー商会の最初の取り組みとしては、長崎居留地に製茶工場を建設することでした。
 19世紀イギリスでは茶を愛飲するようになり、東インド会社では中国との茶貿易はインドとの茶貿易を上回る収入をもたらしていたといいます。しかし国の情勢次第で生産物にも大きな影響を与えます。1866年(慶応2年)の横浜英字新聞には中国北部の政治不安が緑茶の生産にも影響が出ており、出荷の量を減らし値上げをしていることを記しています。また中国の茶葉の高騰により、アメリカでは日本茶への関心が高まっていることも述べています。
 グラバーを含む長崎居留地の外国人商人たちの間では、九州で伝統的に栽培されている茶葉に注目が集まり、日本の産物を収入利益のある輸出商品にするために、生産の後押しを行い生産者と仲介人のネットワークを広げていきました。


グラバー:茶貿易については、旧オルト住宅の主人ウィリアム・オルトも有名だ。
ツル:彼の奥様エリザベスは1864年(元治元年)から5年間長崎に住んでいて、その時のことを「回想録」で綴っていますけど、オルトさんの製茶工場のことも書いていますよ。
富三郎:茶葉を輸出する時は、生の茶葉を乾燥させて箱詰めしていて、この乾燥させる工程を日本人が一日中交代しながら行っていました。作業員は300人以上いたそうです!
グラバー:生の茶葉を輸出すると輸送中に茶葉を傷めるから、工場で乾燥させていたのだよ。

dscn0658

 グラバーは良質な製茶工場にするため、旧リンガー住宅の主人フレデリック・リンガーをグラバー商会の社員として招きました。イギリス出身のリンガーは、中国にあるイギリスの貿易会社「フレッチャー商会」の茶検査官をしていましたが、来崎しグラバー商会でお茶の輸出監督として腕を振るうこととなったのです。

富三郎:リンガーさんは1865年(慶応元年)の秋頃に来崎でしたでしょうか?。。。そこからグラバー商会で茶検査官の力を発揮して日本茶の売り上げが上がったらしいですよ!
グラバー:オルトの茶貿易の勢いも素晴らしかったが、リンガーの技術も最高であった。リンガーはその後、私の会社を離れ、「ホーム・リンガー商会」を立ち上げるが、そこでも様々な事業に取り組んでいた。
富三郎:私はアメリカ留学から帰国後、ホーム・リンガー商会の社員になり、リンガーさんのもとで仕事をさせて頂きました。
ツル:親子揃ってリンガーさんにお世話になりましたね。
富三郎:父さんやリンガーさん、オルトさんは長崎外国人居留地で活躍した重要な方々です。彼らの功績を称え、毎年父さんが来崎した9月19日前後に「グラバー顕彰式」を執り行っております!
グラバー:今年も9月14日にグラバー園で行われるので是非みんなに来てほしい!それにしてもグラバー商会について語りつくすことが出来なかった・・・これは次回に持ち越しだ!


<参考文献>
ブライアン・バークガフニ『リンガー家秘録1868-1940』2014長崎文献社


◆◇グラバー顕彰式◇◆
%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%90%e3%83%bc%e9%a1%95%e5%bd%b0%e5%bc%8f_jpg
1859年9月19日、安政の開港と同時期にトーマス・グラバーは来崎しました。このことに因み、長崎を拠点に日本の近代化に大きく貢献したグラバーらの功績をたたえるため、毎年グラバー顕彰式が執り行われています。

開催日:2019年9月14日(土)
時間:10時~10時30分
会場:グラバー園内 三浦環像前広場
※入園料が必要となります。
※雨天時はグラバー園内「長崎伝統芸能館」で開催。

%e3%83%91%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%89_jpg%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%90%e3%83%bc%e3%83%91%e3%82%a4%e3%83%97%e3%83%90%e3%83%b3%e3%83%89_jpg
顕彰式終了後には、グラバーのふるさとスコットランドの名物「バグパイプ」の演奏と共に「グラバー顕彰パレード」を開催。グラバー園周辺の旧長崎外国人居留地エリアでは「長崎居留地まつり」が開催されます!

「グラバー顕彰パレード」
開催日:2019年9月14日(土)
時間:10時30分~11時
会場:グラバー園~グラバー坂(大浦天主堂前)~四海楼前広場
出演:グラバーパイプバンド、居留地キッズコーラス、居留地男声合唱団等
※雨天中止

「特別アトラクション~バグパイプ演奏」
開催日:2019年9月14日(土)
時間:13時~
会場:グラバー園内 三浦環像前広場
出演:グラバーパイプバンド

「長崎居留地まつり」の詳しい情報はコチラへ♪


【旧グラバー住宅 耐震化を含む保存修理工事について】
現在、旧グラバー住宅は耐震化を含む保存修理工事のため、見学及び順路に変更がございます。約50年ぶりとなる、今しか見ることができない世界遺産の保存修理工事の様子を間近でご覧ください!
e3dd009e7496b3f432d0007acd204324 img_2071 img_0894
グラバーに関する展示については、「グラバー特設展」と題して、「旧リンガー住宅」及び「旧スチイル記念学校」で開催中です。ぜひこの機会ご覧ください。
%e7%89%b9%e8%a8%ad%e5%b1%95
グラバー特設展についてはコチラをご覧ください。

カテゴリ