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旧自由亭

日本人初の
西洋料理店シェフとなった
草野丈吉のレストラン「自由亭」。

旧所在地
長崎市馬町12番地
建築年
1879年(明治11)
移築年
1974年(昭和49)
建築面積
100㎡
構造
木造、2階建
旧所有者
長崎地方検察庁
旧自由亭

解説

絵葉書に写った馬町時代の自由亭(○印内)

自由亭のシェフであった草野丈吉は1840年(天保11)に長崎市内の農家に生まれ、21歳で出島のオランダ総領事のもとで働き西洋料理を習得しました。その後1863年(文久3)、24歳の時に長崎市伊良林(いらばやし)に「良林亭(りょうりんてい)」という日本人初の小さな西洋料理専門店を開業し、長崎奉行の外国人接待などに使用されました。またのちに日本赤十字社を設立した佐賀藩の佐野常民が来店した際、丈吉は佐野のすすめで店名を「自遊亭」から「自由亭」としました。自由亭は、当時の長崎の三大西洋料理店「小島郷福屋」、「西浜町清洋亭(精洋亭)」のひとつで、 内外の貴賓、地元高官などの社交の場に利用されていました。

1867年(慶応3)、丈吉は大阪の土佐商会に呼ばれ、前土佐藩主山内容堂に士分をと取り立てられました。同年、外国官権判事だった五代友厚の命により大阪川口居留地にホテルを開業。ほかにも京都博覧会に際して外国人向けホテルを経営や、明治天皇の食事、来日した各国の要人たちに料理をふるまい活躍しました。

グラバー園に残る「旧自由亭」は丈吉が1878年(明治11)に長崎市馬町で開業した西洋料理店で、建築当初は2階にベランダがありました。丈吉の死後、1887年(明治20)に自由亭は廃業し、この建物は、検事正官舎として使用しました。この時期に改築を繰り返しており、現在の造りは検事正官舎として使用されていたときの状態で、現在、喫茶室になっている部屋は応接室として使用されていました。また本来は和式の部分もありましたが、旧所在地からグラバー園に移築する際、洋風の意匠の部分のみ移築されました。

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