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Story 3グラバー園とヒッチコック監督~知られざる接点

 グラバー園に現地保存されている3棟の重要文化財の一つに「旧オルト住宅」がある。元の主は幕末の茶貿易などで活躍したイギリス人商人ウィリアム・オルト(William Alt)である。

 昭和60年(1985)、オルト家の血をひく人物が久しぶりに長崎を訪れた。ひ孫にあたるモンゴメリー子爵夫人(旧姓テッサ・ブラウニング)である。先祖の住宅を見たいという思いにかられて一路長崎を目ざしたようだが、長崎訪問の際、同夫人の母親は有名な小説家ダフネ・デュ・モーリア(Daphne du Maurier)であることが初めて長崎で知られることとなった。

 ダフネ・デュ・モーリアは、明治40年(1907)ロンドンで生まれ、まだ24歳だった昭和6年(1931)に出版した処女作「愛はすべての上に」(The Loving Spirit)がいきなりベストセラーとなった。その後ウィリアム・オルトの孫に当たる軍人のフレデリック・ブラウニング(Frederick Browning)と結婚した彼女は、次々とベストセラー小説を発表して話題を呼んだ。映画化された小説の中で最も有名なのは、「レベッカ」(Rebecca)であろう。「風と共に去りぬ」で名声を得たデイビッド・O・セルズニックがプロデュースして昭和15年(1940)に映画化された「レベッカ」は、映画監督アルフレッド・ヒッチコックのアメリカデビュー作となった。同年のアカデミー賞の作品賞に輝いたこの映画は、今尚、モノクロ映画の名作として絶賛されている。ヒッチコック監督の名作ホラー「鳥」(TheBirds)の原作者もダフネ・デュ・モーリアである。

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