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Story 20グラバーはスコットランド人だった

 昭和32年(1957)10月10日、 三菱重工業株式会社は長崎造船所創業100年祝賀式記念事業として、旧グラバー住宅を長崎市に寄贈した。翌年、長崎市は同住宅を有料観光施設として一般に公開。入場料は大人10円で、入口に料金徴収のために無人ボックスが設置されたという。更に3年後の昭和36年(1961)、旧グラバー住宅は国の重要文化財に指定された。長崎市は、重要文化財指定の記念として、元の主トーマス・グラバーの胸像を旧グラバー住宅前に除幕した。現存するその胸像には次の碑文がある。

 「英国人トーマス・ブレーク・グラバーは安政6年(1859)長崎に来て貿易業を営むかたわら近代的な造船・掘炭・製茶などの事業をおこしわが国産業の発展に貢献した。その間特に薩長土肥の諸藩に協力して明治維新の大業に寄与した。その偉功により勲二等旭日章を授けられ明治44年(1911)73歳で永眠した。ここに胸像を建てその功績を永く顕彰する。」

 この碑文には間違いはないけれども、日本語の下にある英語訳の銘鈑には修正された跡がある。翻訳者は日本語の「英国人」を「Briton」とすればよかったのだが、Englishman(イングランド人)としたため、旧グラバー住宅を訪れたスコットランド人たちの怒りを買ってしまった。度重なる苦情を受けた長崎市は業者に頼んで、スコットランド出身だったグラバーの国籍の英語訳を「Scotsman」に改めた。

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