旧長崎居留地の最も有名な洋風建築のひとつでる南山手25番の邸宅はもはや長崎にはなく、愛知県のテーマパーク「明治村」に移築保存されている。記録によれば、この区画の最初の借地権保持者は幕末期に来崎したアドリアン商会のオランダ人従業員だが、明治村に移築され登録有形文化財となっているバンガロー式木造住宅を建てたのはスコットランド人技師ジョン・F・コルダー(John F. Calder)である。彼は慶応3年(1867)に来日し、長崎のボイド商会に、その後横浜の三菱製鉄所、神戸の大阪造船所を経て、三菱が長崎造船所を国から払い下げを受けた際、初代所長として請われて再び長崎の地を踏んだ。