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Story 78旧スティール・アカデミー

 旧スティール・アカデミー(記念学校)は、東山手9番地(現在は海星学園の一部)から旧オルト住宅の正面奥に移築された2階建て洋風校舎である。東山手9番地は、1864(元治元)年からイギリス領事館の所在地だったが、イギリス政府は1886(明治19)年に男子校の開設を計画していた米国改革派教会に借地権を譲った。アメリカ人宣教師へンリー・スタウトの設計による校舎は領事館の跡地に建てられた。

 翌年9月に開校した学校は、早世した息子を惜しんでこの学校の建設に大金を寄付した宣教師W.H.スティールにちなんで「スティール・アカデミー」(日本名「東山学院」)と名付けられた。数か月のうちに百人以上もの生徒がここに学びに来るようになった。また、学校運営費の一部を確保するために洗濯屋も営業していた。

 東山学院は1932(昭和7)年に閉校して東京の明治学院と合併した。建物はその後、長崎のカトリック教区運営の「東陵中学校」として利用され、1952(同27)年には神言修道会に移管され、長崎南山学園として再スタートを切った。南山学園は間もなく上野町の新校舎に移転し、この建物はマリア会の神父たちが東山手で運営していた海星学園の校舎として使われるようになった。

  1972(昭和47)年9月、老朽していた建物は解体され、2年後のオープンに間に合うようにグラバー園に移築された。現在は写真展示の他、この建物の元の役目にふさわしい講演やその他の教育イベントを行う会場にもなっているが、東山手時代と違い、建物は長崎港に裏側を向けるように立っている。

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